2024 公立高校入試を振り返る

こんにちは、加茂駅前校の津村です。

3/7(木)に京都府公立高校中期入試が終了し、3/18(月)には合格発表となりました。ここに、加茂駅前校の入試実績(高校・大学)を発表いたします。

Result(加茂駅前校)

私立高校

京都橘 総合類型 合格

京都廣学館 アドバンスコース B特待合格

京都廣学館 ジェネラルコース 合格

奈良育英 高大連携コース 合格

奈良育英 総合進学コース 合格

公立高校

東宇治(前期) 普通科 合格 

菟道 普通科 合格

木津 情報企画科 合格

大学入試

京都府立医科大学 医学部 看護学科

同志社大学 理工学部 機械工学科


これで今年度の入試はすべて終了となりました。

ここまで戦い抜いた受験生の皆さん、本当にお疲れ様でした。

ですが、この入試は新しい生活の出発点に過ぎません。どんな立場であっても新しいステージで頑張って生活してください。

さて、それでは、もはや毎年恒例(?)となりました、津村の公立入試振り返りのコーナー。今年も様々なドラマが生まれた入試問題を解いて、今年度の傾向と来年の(プチ)トレンド予想をしていきます。


国語(主観:易化)

例年に比べて古文系統の問題を中心にとっつきやすい文章が多く、普段より得点が取れたという声も多く聞かれました。問題自体も漢字や文法から文章を学習した生徒の話し合い文など、おなじみの問題が目立っていたため、過去問をやりこんでいればかなり取りやすい問題だったように感じます。

PICK UP

中期大問1(4)①

津村のコメント

漢文の出題は令和2年以来なので、結構久々の出題でした。令和2年の過去問は6文字の返り点の正誤判断だったものが、今回は11文字での返り点の正誤判断となっていた。しかしながら、出展が中1の教科書で学ぶ『矛盾』からだったこともあり、文字数の割には取っ付きやすい印象。

社会(主観:易化)

見た感じはとっつきにくいような文面をしていたが、改めて読み込んでみると、知識を問うタイプの問題が増えており、問題の導入に怯まなければここ数年の中では楽な部類に入る問題でした。そのような中でも、複数知識を組合わせた資料分析の問題が出題されていた事は注目すべきポイントでしょう。

PICK UP

大問4(5)次のグラフは2022年に起業家・起業関心層・起業無関心層のそれぞれの収入とワーク・ライフ・バランスに対する満足度を調査したものである。次のグラフから読み取れるものは次のうちどれか?(要約)

(ア)収入満足度について、起業家は「やや不満」「かなり不満」と回答した人は30%以下である

(イ)ワーク・ライフ・バランス満足度において、起業関心層は「かなり満足」「やや満足」と答えた人より、「やや不満」「かなり不満」と回答した人の方が多い。

(ウ)起業家は、収入満足度よりワーク・ライフ・バランス満足度の方が「かなり満足」「やや満足」と答えた人の割合が多い。

(エ)収入満足度とワーク・ライフ・バランス満足度の両方において、起業関心層よりも起業無関心層の方が「かなり満足」「やや満足」と答えた人の割合が多い。

津村のコメント

内容自体はよくあるグラフの読み取りと分析の問題であるが、現在の社会人の仕事の姿勢が見え隠れするという意味で興味深い問題でした。起業をしようとしない人ほど収入もワーク・ライフ・バランスも「いやぁ……、別に………。」と言っている状態が想像できます(笑) 余裕ないのかな?

数学(主観:やや難化)

ほとんどの問題は平年並みのレベルに落ち着いていましたが、規則性に関わる問題が前・中期両方でかなり難解で、規則性を見出せない生徒が多かった印象です。

PICK UP

中期大問6(3)円周上にn個の点を打ち、すべての点を結ぶ線分を引いてた時の弦の本数について考える。例えばn=2,3,4は下の表の通り

この時、弦の本数が1953本となるときのnの値を求めよ。

津村のコメント

理系の高校生であれば、定期試験必出の基礎問題としてとてもスムーズに解ける反面、中学生に対しては『どう解説したものか……汗』となってしまう問題です(苦笑)

上記のような、1・3・6・10……と増えていくこの関係の事を『三角数』と言い、それぞれが、1・1+2・1+2+3・1+2+3+4……という関係で増えています。

という事は、点の数がn個の場合は、

1+2+3+4+……+(n-1)

という本数が引かれていることになります。

このような数の合計の場合は、下記のように考えると公式が整理しやすくなりますが、結果として線の本数を求める公式は

となります。

これを方程式として立式すると……

1/2×n(n-1)=1953

となり、これを解くと結果はn=63となります。

理科(主観:やや易化)

昨年出題されたような思考実験型の問題はさすがに出ていないので一安心(笑) 選択問題の内容も思考問題が中心ではあるものの、計算が伴わないものが多かったため、新課程となった後の問題の中では取っ付きやすい年だったように思えました。

PICK UP

大問7

津村のコメント

出ました!社会ではお馴染みの単元横断問題!とは言うものの両方とも地学の内容のため、1つ1つ対処をしていけば『難しすぎる!』とはならなかったタイプの問題です。社会同様に1問1問落ち着いて解くことが出来れば大丈夫な問題でした。

英語(主観:平年並み)

問題の配点なども大きく変わらず、内容自体も普段と大きく変化がないなど、馴染みのある難易度であった。過去問で上手くペース配分を作れていればそこまで苦戦するような内容はなかったように思われる。

PICK UP

中期大問2(3)本文内容とメニューから今回、アヤが注文する事になったケーキは次のうちどれ?

 

(ア)apple cake (イ)chocolate cake (ウ)strawberry cake   (エ)special banana cake (オ)special pumpkin cake

津村のコメント

ここ数年の傾向として、資料として提示されるものが日本語メインから英語メインへと変遷している問題が多く見られています。また、かつては英語の資料でも地図上の”〇〇station”という具合でひとことだけの資料が多かったのに対して、ここ数年は文章として出題されることが増えてきました。


さて、いよいよ新年度が始まります。

新年度は、共通テストの新課程反映など大きな動きも多くありますが、入試情報をしっかりとアウトプットしていきたいと考えています。

お楽しみに♪

春期講習好評受付中!

みなさん、こんにちは。

京都市伏見区で開校しております、リンクス個別指導久我の杜校の林です。

さて、早いもので2024年も3月、しかも下旬にさしかかっています。

中学生・高校生の皆さんは3学期が終わり春休みが始まりましたね。

学年末という事で1年の成績も出たと思いますが、みなさん、どうでしたか?

思ったより良かった・悪かった、こんなものかな、感想は様々だと思います。

どちらにしても、4月から新学年を迎えます。

この1年で学習したことを土台に次の学年・学校へと進んでいきますので、

曖昧なままにしておくと後が大変ですよ。

春休みで嬉しいのはわかりますが、時間のある内に復習しておきましょう。

 

リンクス個別指導では、3/25~春期講習を開講します。

旧学年の復習はもちろん、新学年に備えた予習まで対応しています。

体験授業も受付しています(しかも15周年キャンペーンで4コマ無料!)ので

少しでも取り組んでおきたいという方は、お気軽にお問い合わせください。

期間中は自習室も開放していますので、学校の宿題を終わらせるのもアリ!

スタッフ一同、みなさんのお越しを心よりお待ちしております。

新年度に向けて!

こんにちは!リンクス個別指導城陽校の栗本です。

多くの中学生の学年末テストが先週末で終わり、高校生の学年末テストも終わりつつありますね。また、公立高校中期選抜も終了しました。

2023年度のテスト・入試が終わり、まずは、お疲れ様!!

そして、そうこうしているうちに2024年度が始まり、学年が上がります!

リンクス個別指導城陽校では、新学年での勉強を少しでもスムーズに進めていくため、今の学年の復習と新学年の予習を進め、GW明けの中間テストに備えています。

 

そんなリンクス個別指導を新年度が始まる前の今、体験してみませんか。

今なら2つの特典でお待ちしています。

①最大1か月無料体験(80分×4回)

②入学金無料

じっくり4回、リンクス個別指導味わってご入学を考えていただけるチャンスです!

新年度から頑張ろうと思っている方、いつでもお待ちしています。

 

立誠学院グループ 15周年キャンペーン

立誠学院グループ 15周年キャンペーンの専用ページへアクセスいただきありがとうございます。

 


少子化の荒波に揉まれながらも、地域の皆様に支えられて私たち立誠学院グループは無事に15周年を迎えることが出来ました。

15年に渡り多くの子供たちの学習に携わることが出来たのも、ひとえに地域の皆様のご支援の賜物でございます。

そこで、立誠学院グループの一角であるリンクス個別指導も地域の皆様に『何か恩返しができないか?』と思い、今回大規模なキャンペーンを実施することとなりました!

特典①:体験授業最大1ヶ月無料!

塾の授業の雰囲気を知ってもらうための体験授業は通常は1回に限定されることがほとんどです。しかし、15周年の今回は

体験授業を4回まで受講が可能です!

週1回の通塾サイクルで来ていただいた場合は最大1か月の無料授業を実施することが可能です。

特に1教科に絞って指導をした場合は4回も授業があります。ですので、『塾の授業の雰囲気はどうなんだろう?』などとは言わず、

学習の成果』をお持ち帰りいただければと思います。

1つでも何かが『出来るようになった!』という自信を身につけていただけるよう授業を進めさせていただきます。

特典②:継続入学者の入学金完全免除

さらに、今体験授業によって入塾を決定いただいた場合、通常21,500円(税込)となる入学金を完全免除いたします。


 

新年度、感謝の気持ちでいっぱいの『特別キャンペーン』。4月末までの実施となります!

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受験と定期テスト

とうとう中学生の高校受験も中期選抜を残すのみとなりました。宇治田原校では同時に、維考館中学の学年末テストと高校生の定期テストも同時期に行われますので、この時期は授業ブース内も自習ブースもすべて満席になります。

1年間見続けて来ましたが、それぞれが目標を持って取り組んでいる姿はみんな特に成長したと感じます。あとは結果を出すのみ!みんな頑張って!

 

春期講習のご案内

リンクス個別指導 春期講習の専用ページへアクセスいただきありがとうございます。

現在皆様は、進級・進学するにあたって、このような不安を抱えておられるかと思います。

 


 

新しい学習環境についていけるか不安だ。

学年末試験の結果が散々だった。ヤバい!

なんだか勉強の仕方が分かってなさそう

いよいよ入試本番の年!気合を入れて勉強しなおしたい!

 


 

そんな方々に、私たちリンクス個別指導が提供させていただく春期講習の特徴をご紹介!

勉強嫌い・苦手な子歓迎! 復習中心の授業内容

リンクス個別指導の春期講習の基本的なカリキュラムは”復習”です。一言で「勉強が苦手」といっても、いったいどの単元で躓いているのかはお子様によってまちまちです。春休みという短い期間だからこそ、効率よく復習を行っていく必要があります。そのため、春期講習の流れとしては『どこで分からなくなってしまったのか?』を確認テストにてあぶり出しながら、本当に『出来ないところ』を重点的に指導します。

また、上記の方法での指導を行っているので、お子様の『分かってたつもり』の見逃しも起こしません。

学習の躓きに備える

復習内容の確認が終わったら、次の学期に向けた予習に入ります。

特に、中学1年生として進学する子供たちは、『小学校のクセ』を正していくために、特に予習に力を入れて学習を進めていきます。

 完全個別指導で時間割を調整できる

個別指導の一番の特徴は時間を自由に選べること。忙しいクラブチームや一生懸命続けてきた習い事とも両立しながら授業を受ける事が出来ます。

 


 

新年度、新たな気持ちで勉強の気持ちの切り替えが必要なこの時期にピッタリの

LiNKS個別指導の春期講習

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定期テスト攻略講座 受付中!

こんにちは!リンクス個別指導城陽校の栗本です。

2月に入り、本格的に高校受験がスタートしました!公立高校の前期選抜での合格を目指している人は、あと数日頑張るとともに体調管理には気を付けてくださいね!

さて、先輩が高校受験を迎えている中、中学1・2年生は2月の末に今年最後の定期テスト「学年末テスト」が行われます!

中学2年生にとっては、1年後の入試で自分が受けたいと思っている高校を受験するための大事なテスト!

中学1年生にとっては、中学校に入って1年間いろんなことに頑張ってきたことの総決算!

どの学年にとっても、2月は頑張り時です!

そんな大事な2月のテスト勉強を精一杯応援したいと思い、今回もリンクス個別指導城陽校では、「定期テスト攻略講座」をテスト前の土日に行います!

英語・数学の主要教科だけでなく、国語・理科・社会もしっかりと対策できる講座です。また、分からないことだけを質問する個別指導コースでの受講も可能です!

今回のテストを乗り切れば、春休みが待っています!!

是非、一度一緒に頑張りましょう

勝負の2月

みなさん、こんにちは。

久我の杜校の林です。

さて、2月も8日となりました。

明後日(2/10)には京都の私立高校の入試が始まります。

それを皮切りに、公立の前期選抜(2/15・16)、中学校・高校の定期テスト、

3月に入れば公立高校の中期選抜と怒涛の1ヶ月です。

最後の追い込みの時期、良い結果を得られるよう頑張っていきましょう。

 

また、2月は体調を崩しやすい時期でもあります。

生徒の皆さんはもちろん、保護者・ご家族の皆さんもお気をつけください。

 

高校受験2週間前!

高校入試も直前に迫ってきました!

私立入試は2月10日(土)~

 

公立の前期選抜は2月15日(木)~

現在、入試問題の演習⇒チェックの真っただ中ですが、ここまで直前になってくると、新しい単元の解説よりも、どれだけミスをしないように解くかに力を入れて指導します。全員合格に向けて頑張りましょう!

さて、勉強面は私たちにお任せいただければよいのですが、塾では出来ない準備として、受験に向けての「環境の準備」があります。

体調管理

学校でもインフルエンザがかなり増えてきていますし、まだコロナもチラホラ伺います。どれだけ頑張っても体調を崩しては、受験当日力が発揮できません。これからは特に、マスクの着用、手洗いうがいの実施、栄養を考えた食事、睡眠時間の確保をお願いします。

時間管理

受験当日は(学校により若干ずれますが)8:45集合、9:20~テストが開始となります。「当日は早起きしていかなければ」では手遅れになります。学校があるので概ね大丈夫かとは思いますが、受験日を想定した早寝やと早起きを実行してください。眠たい中でテストを受けるとケアレスミスが沢山出てしまいます。出来る限り万全の体調で挑んで下さい。

メンタル管理

「緊張もしてないし、うちの子は大丈夫」という方こそ注意して下さい。1週間前、3日前と迫ってくるとソワソワしだして、不安に襲われる事はよくあります。そういう時は、「高校に合格するぞ!」という目標は大事なのですが、この目標には具体的な内容が無いので、出来れば「受験までに○○をして合格する」や、「○○までやって合格する」など、出来るだけ具体的な内容をイメージしてみて下さい。「受験まで、不規則動詞を全部忘れないようにする」などでも大丈夫です。

以上3つ上げましたが、子どもだけでは何ともならない内容も含まれますので、ご家庭でも受験当日これまでの力が発揮できるようサポートをしてあげて下さい。

 

 

 

残念石から考えるニュースの見方

こんにちは、加茂駅前校の津村です。

本来、塾のHPブログなので、政治的に議論が起こりやすいネタは扱うべきではない(炎上したくないし……)と考えているのですが、今回は加茂に関わる内容だったの、取り上げてみたいと思います。


 

事の発端は、1/19に掲載された読売新聞のこの記事でした。

https://www.yomiuri.co.jp/expo2025/20240119-OYO1T50010/

この記事を端的にまとめると、旧加茂町の西側にある『赤田川』の流域にある『残念石』を万博会場の建材に利用する計画が上がっているという記事でした。

(記事内より写真を引用)

残念石は江戸幕府2代将軍の徳川秀忠が大坂城の再建工事を行った際に、当時の加茂界隈の大名であった藤堂高虎(戦国時代の築城名手。主家を変えまくった事でも有名。)の指示によって切り出されたものの、結局使われなかった石垣用の巨石です。

この残念石を大阪万博の会場のトイレ・休憩所の支柱として利用して、海外の人々に当時の石材加工技術を見てもらおうというプロジェクトとの事です。

この残念石のリノベーション報道に対して、X(旧Twitter)の反応は

・文化財をトイレの柱に使うという発想が気持ち悪い!

・賛成者は古墳や石仏もリノベーションするのか!

・歴史的価値もわからん奴の頭の方が『残念』だろ!

と、まあこのように大炎上してしまっている訳です(汗) 感情むき出しで怖いなぁ

確かに、歴史的価値の高いものを持って行ってしまうという事は、歴史の保存という観点から見れば『冒涜的』ともとれるのは確かです。しかし、残念石を始めとした加茂の史跡の保存・広報をしているNPOもこのプロジェクトを支援しているため、もしかすると今回の報道の中身だけでは語られていない事案があるようにも感じます。

そもそも、炎上している状況においての批判的意見というのは、だいたい感情に任せた物が多いので、少し落ち着いていろいろと調べてみることにしました。


残念石の制作と発見

当時の加茂エリアは藤堂高虎の命令で1000個ほどの巨石が赤田川南西の大野山より切り出され、木津川の水運を利用して大阪城まで運搬されました。切り出された巨石のうち600個ほどは実際に大阪城の再建に利用されていましたが、城というのは軍事施設なので、いつ戦いで壊されるかもわかりませんし、それでなくても日本は大地震の多い国なので、壊れてから切り出していては再建が遅々として進まないという問題がありました。

残念石は、いざ城壁が壊れた際のスペアとして保存されていました。(余談ですが、豊臣政権下の伏見城は完成直後に慶弔伏見地震で倒壊するというショッキングな出来事もありました。当時の高虎は豊臣家臣だったので、城壁のスペアを準備するという思考は自然なものだったと思います。)

しかし、その後太平の世となり大きな災害に見舞われることおなかったため、切り出した巨石の事は完全に忘れ去られていきました。

残念石が発見されたのは1975年。赤田川流域の護岸工事を行った際に、誰かが加工した形跡のある大きな石が60個ほど発見され、当時の文献と照らし合わせることで上記の内容が明らかとなったのです。

歴史資料としての保存

そんな残念石の保存ですが、その場所をそのまま史跡として指定して保存したのかと言われると全くそんなことはありません(笑)

例えば、木津川市加茂支所(下の写真)にはここから発掘された残念石の1つを持ってきて展示しています。他にも切り出し作業当時に高虎が滞在したとされる常念寺の境内にも移設されたものが残っています。

また、残念石は加茂だけでなく大阪城の内部や周辺にも存在しています(下の写真)。石切り出しは加茂以外にも小豆島や六甲山地でも行われており、同様にして発見されています。そのうち、小豆島から発見されたものは大阪城天守閣前に持ってこられたものも存在しています。

これらの例から、そもそも保存目的であちこちに移設・移譲が行われている以上は残念石を移動させてはいけないという理由はないということになります。

また、歴史資料の保存というのは、何も『その場に残すこと』だけではありません。実際にこの地でどんな歴史があったのかを伝えること、この地にそのような歴史があることを知ってもらうという事も大切な歴史資料の保存につながっています。(まあ、知らなかったらそもそも保存しようという発想になりませんので……)

そこで、ここ数日の間、実際に僕が授業を受け持った子供たち数名に今回の件を話してみたところ、残念石の存在を認知していた子供たちは6~7割にのぼっており、加茂エリアにおいて残念石についての周知活動そのものをしっかりと行っている様子が見て取れました。

ただ、今回の一件以前についての残念石の世間一般の認知度については、決して高いとは言えない状態でした。実際にGoogleを使って過去の記事を検索すると、内容としては『関西のスポーツ紙のコラム』『辺境歩きを趣味とした方のブログ』『歴史マニアの遺跡探訪ブログ』といった趣のものがほとんどでした。

以上から、加茂の残念石は『地元民からはそこそこの認知度ではあるが、世間一般からすればマニアがたまに着目する程度の認知度』という状況だったことが推察されます。

邪魔だった残念石?どうせ動かすんだったら……

さて、今回の一件に話を戻します。

今回いろいろと調査を進める中で、残念石の万博会場での活用に至った背景となるであろう情報も入手できたので、この件についても記載しておきましょう。

クリックしてr5-13_tenri-kamokizu_ohno-bp.pdfにアクセス

この資料は京都府と木津川市が委託している加茂西側の道路のバイパス整備の資料です。この工事は道路周辺の渋滞解消・視界確保と歩行者・自転車の安全確保のために計画されている工事です。この付け替え工事のコース上に残念石が発見された場所があるのです。

そういった背景から、実は2022年の初めごろから出土していた残念石をほかの場所に移設する申請を木津川市は京都府・国に打診しており、その作業にを進めていく方針だったという事です。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/718320

(参考:京都新聞 2022年1月25日発行記事より)

この流れがあれば『残念石を万博会場へ!』という流れも納得はできます。

地元への周知はある程度行えていた残念石も、他地域のような観光地化された史跡に比べると非常に地味で、歴史マニア・秘境マニアがたまに着目する程度の認知度であるのであれば、いっそ世界中からの客が見込める万博会場に残念石を寄贈することで、加茂に対しての興味を持ってもらうきっかけとなるように移設を容認することも何ら不自然な思考ではありません。

残念石から考えるニュースの見方

最後に、今回のニュースについての個人的な見解を書き記します。

残念石の利用についての意見は『あまりいい気がしない』というのが正直なところです。実際に加茂で働くことで土地勘があり、歴史的な価値というものに対してのアンテナが張っているタイプの人間である以上、あるがままの姿で残念石の事を知ってもらえることがベストだと考えます。しかしながら、先述の通り一部のマニアックな人にしか知られることのなかった現状から、多くの人に知ってもらいたいという思いがあるならば、それは応援したいとも思います。

以上から、僕個人の意見としては『心情的にはNGだが、協議のうえでの決定であれば応援したい。』いった形になります。

大阪万博2025は建設計画の詰めの甘さ・現段階での国民の興味関心の低さに加え、東京オリンピックの誘致活動の際に裏金が動いていたという報道から、昨今の国家事業についてはどうしても批判的な意見を向けられがちな傾向にあります。そんな中で歴史的に貴重なものをリノベーションするという形での報道は反対意見を持つ人々からは格好の批判ネタとなりました。しかし、批判的意見を向けていたほとんどの人が、『罰当たり!』『発想が陳腐!』というような言説であり、先ほどのように残念石の保存についての知見や現状について、調べて理解したうえでの批判を行っているとは、どうにも思えないような投稿が散見されていました。どちらかというと『万博反対!』『箱モノ事業で儲ける悪徳政治家を許すな!』という論調に引っ張られた投稿が多いように見られました。

様々なニュースにおいて、報道は『情報の取捨選択』が行われたものが提示されます。今回の例であれば『残念石の移設は割と頻繁に行われている』『バイパス工事の関係で元あった場所からはすでに移動済みである』といった背景情報を知っているか否かで受け取り方が大きく変わってくるニュースであると思います。


日々報道されるニュースに対して背景情報も含めた思考判断をしていく姿勢を持ち、通ってくれている子供たちが正しく判断できるような情報提供ができるように過ごしていこうと改めて思わせる騒動となりました。