こんにちは、加茂駅前校の津村です。
さて、塾に限らず『先生』を仕事にしている人たちについてたびたび議論になる『採点』についてのお話です。
SNSが盛んになってからというものの、小学校(特に低学年が多いです)の保護者とみられるアカウントから理不尽な理由で×をつけられていることに(親子とも)納得がいかず、軽い炎上状態になることが散見されるようになりました。
こういった炎上でよく見られるパターンとしては『まだ習っていない漢字を使っている』『足し算やかけ算の順番が違う』といった素人目から見たら『別にいいじゃん!』と思うような事に揚げ足を取っているように見える事が多いのかとは思います。
ただ、これに関して僕自身は『勉強において気を付けてほしいポイントや立場によって変わる』という側面が大きく、それによって『守るべき』だったり『守る必要がない』と判断できると考えています。
勉強において気を付けてほしいポイントについての例を挙げると、小学校では『漢字の書き順』については低学年ほど口を酸っぱく言われますが、高校生ともなれば漢検の受験でもしない限りはあまり触れられる内容ではありません。
これは書き順は『筆で書いた字が墨でにじんだり、筆の上げ下げの関係でつながった時に、どっちから書いたかで見分けられるようにするため【図1】。』という歴史と特性から、『まだ字を書きなれていない小学校低学年は書き順を守っていれば〇をもらえる可能性が上がる』というメリットがあるります。
【図1】左と右の行書体(officeにて出力)
書き順を守ると『左』の横棒が上の斜め払いに流れているので、下の『エ』の部分がつぶれても読めるという事です。こういった見分け方は古文や考古学の研究に応用されているとか。
そうなれば小学校1・2年生などは特に『書き順は守るのが無難』という結論に落ち着くわけです。こういった場合は『守るべきルール』としては妥当であるため、採点としては『間違い』とした方がいいと言えます。
次に、立場によって気を付ける例としては、小学校の先生が4年生に『直方体の体積の計算』を教える時に【たて×横×高さ】で教えたのちに、3年生の時に学習した『九九の計算の順番は入れ替えても結果が変わらない』という事を忘れている子供たちの混乱を防ぐために【たて×横×高さ】の順で記載をする【図2】。といった配慮なども含まれます。
【図2】小学校の板書(ネットからの拾い物)
算数が得意な子や塾に通う子は内心『5×4先にやった方が楽やん』と思うかと思いますが、これも算数が苦手な子に対する先生の配慮の結果だったりします。
こちらについては、苦手な子についてはルールを守れば出来るわけですが、単元によっては『計算の工夫』を求める以上、そういった発想は今後の学習でより難しい問題を考える上で重要なスキルです。よって教える側の先生は『守るべきルール』であり、教わる側の小学生は『守らなくてもよいルール』となります。
では、これを踏まえて次の例を考えてみましょう。
これは実際に高偏差帯の某高校3年生の数学(入試演習授業)のテストの採点です。
【お礼】掲載許可くれた子※。本当にありがとう!
8点問題のうち最初の方でのミスで-6点。内容としては高校1年生の1次不等式を少し発展させたもので、最終的な答えは”x>-1/5”というのも正解しています。
※ちなみにこの子、この問題が〇だったら100点満点だったという大変素晴らしい結果を出しています。だからこそ悔しいし納得できなかったようです(汗)
一見、何も問題ないように見えます(恐らくは僕もこの解き方をしてしまいます)が、よくよく×の理由を考えると、盲点となりやすい点が隠れています。
特に旧帝大国公立・高偏差帯私立大を受験したい高校2・3年生は1度考えてみてください。
続きはまた来週!
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