今年度の入試を終えて ~昨年度との比較~

こんにちは、加茂駅前校の津村です。

さて、本日は卒業式。加茂駅前校周辺の中学校も本日に式を執り行っていました。本来であれば卒業式時に校門前で出待ちなんかをしたいと思ったりしていますが、マスク推奨の解除となった現在もマスクをつけながら卒業式をしている様子から、自重をする津村でした。来年こそは……

さて、本日は前回に引き続き、今年の入試の総括としまして、『公立高校入試の総括』を行います! 昨年は理社の難化が見られましたが、果たして今年はどうだったのでしょうか?


国語(主観:やや易化)

前期に続き、読みやすい問題が多かった印象。実際に泉川中学校では2年生が国語の時間に内容に触れるなどをしていたようで、問題自体がそこまで難易度が高くなかったことを示す所作なのかもと感じられる。傾向自体も大きく変わることはなかったため、赤本での練習量で出来が変わるように思います。

社会(主観:やや難化)

こちらも例年通り地歴公民混合問題ががっつりと出題された。例年に比べて単元横断が節操なく飛び回り、かなり荒ぶっていたような感覚。ただし、その状況に順応さえすれば、問題自体は語句問題から地図・グラフ・資料読み取りといつものパターンであるともいえる。

PICK UP

大問4(3)※要約

次の文章はサウジアラビアから日本まで石油を運ぶルートの説明である。このルートにあたるラインを地図上に書き記せ。

【地図】

  

【文章】

アラビア半島に位置するサウジアラビアを出港し、ペルシャ湾を出た後、マレー半島の南端を回って北上し、さらに台湾とフィリピンを隔てる海峡を通って日本に入港する。
津村のコメント

実際の石油の輸送に使われている航路を答える問題であり、大まかに世界の国の位置や地名をしっかりと把握する必要のある問題。

ちなみにこの内容は『地政学』という外交や国家間の戦争について考える上で非常に重要な学問の基礎部分となっています。

【答え】

こうやって見ると、台湾有事は日本に中国軍が来なくても大きな影響があることが分かりますね(汗)

数学(主観:難化)

比較的簡単だった去年に比べて、それなりに思考力も求められるような、歯ごたえのある問題がそろった印象。ただし、状況の理解や規則性の発見などが難解な問題はあまり多くないので、落ち着いて状況を整理できるかが一番の鍵となっている。激ムズ化しなくてよかった~

PICK UP

中期 大問3(2)※要約

袋X・Yからカードを取り出し、数字の大きい方が勝ちというゲームを行う。袋Xに4のカードを、袋Yには2・5・7・8・10・13のカードを入れて袋X・Yの勝率を同じにするには袋Yにはどのカードを入れるべきか。考えられるものを全て選べ。

津村のコメント

確率の難しい問題は『状況を読み取りづらい』事が原因だったりする事が多いですが、この問題は『確率を1/2になるようにしなさい』という、答えがいくつもあるような、別の方向で面倒な問題。

お互いのカードは4枚ずつとなるので、4×4の表や樹形図を記入して8/16となるように調整を行えば問題は解ける。

 
1 4 9 12
3 Y X X X
6 Y Y X X
11 Y Y Y X
Y Y  X  X

このように『4には勝てて9には負ける』カードをYに入れればよい。

【答え】

5・7・8

理科(主観:難化)

確実にここ2年間で計算・思考問題を増やしてきており、恐らく受験生が一番戸惑ったであろう教科。ただ言葉を覚えるだけ・実験の内容を理解しているだけという時代は完全に終わりを迎え、ここからは一定の思考力を求められる問題が出ることが予想されます。(正直、ウチでも何か別途で対策を考えようというレベルだったり……)

PICK UP

中期 大問8 ※要約

Aさん:この荷物、重たすぎます。床に摩擦がなかったら楽に運べるのに!

先生:まあ、その通りではあるが、その場合は人と床の間も摩擦が無くなるぞ。

Aさん:あ、そっかぁ。荷物にも人にも床との摩擦がない場合、どんなことが起こるんですかねぇ。

先生:じゃあ、こんな図の状況を考えてみるぞ。



先生:摩擦のない床の上で、自分より重い荷物を床と平行に押すときに、床に垂直・平行な向きにかかっている力に分解して考えて、人と荷物がどう動くか考えるぞ。

(後略 問題はすべて会話分の穴埋め)
津村のコメント

京都の問題は、実際の実験にのっとったものが多いのですが、この問題はまさかの『思考実験』という実際に起こっていない事・起こりえない事を想像しながら解いていく問題になっています。公式などにあまり触れていない中学生が思考実験について考えるには、似たような事例をうまく想像できるかどうかが重要です。今回のケースですと、『よく滑る台車とローラースケートを履いた人が実験を行う』といったケースや『スケートリンクで実験を行った』といった状況が近いと言えるでしょう。

英語(主観:やや易化)

点数配分は昨年と全く変わらずだが、長文問題が例年より短く、とっつきやすくなったような感覚。問題内容としても、文法から内容理解・内容理解を踏まえた上での読み取りや会話文など、本当におなじみの構成。こちらも国語同様に赤本での練習量が大事だったように感じる。


さて、いかがでしたでしょうか?

個人的には年々難しくなる理科に戦々恐々する子が新中3生にも多いんじゃないかなぁと想像してしまったりしています。

とは言え、どんな状態でもしっかりと問題に向き合える状態にしてあげる事が塾としての務めです。改めて兜の緒をが締まるような気持ちになる問題分析でした。