中学生と考える『仕事』のはなし

こんにちは、ご無沙汰の加茂駅前校の津村です。

実は11月は塾の先生(社員)にとって一番忙しいシーズン(汗) 定期テスト対策をしながら面談もこなすため、結構ハードなんです。

先したわけですが、とりわけ多くの保護者さんとの話題となったのが『子供たちの将来』について。特に、進路が固まり切っている中学3年生よりも、来年受験を控えた中学2年生の保護者さんとは(大学の進学率と高校についての話もあるので)この話をガッツリとしていました。


この話をしている中でふと思い出したのが、2003年に幻冬舎より発売された村上龍氏のベストセラー『13歳のハローワーク』について。

この本は、『今自分が好きだと思っているものはどんな職業につながっているの?』という疑問から様々な職業を調べることのできる辞書並みの本で、514種もの職業(後に改定が入り593種)が掲載されています。実際、マスコミに取り上げられるや否や、学校関係者や教育熱心な家庭から熱烈な支持を得て130万部発行となったわけです。

当時リアル13歳だった津村少年も(たぶんTVとかで感化されたであろう)親から、この本に読んでみるように言われ、(イヤイヤながら)目を通していたわけですが、

『なんかやたら分厚いな(汗) とりあえず辞書っぽいから目次から興味あるとこだけ見とこ。』 ⇒ 『えーっと……とりあえず部活が吹奏楽やし、音楽関係でも見よ。』 ⇒ [音楽タレント][歌手][ミュージシャン][演奏家][指揮者]…… ⇒ 『いや、門狭くてキツイやろ(呆)』

と、20分で見切りをつけられたその本が僕の手で開かれることは2度とありませんでした。一応補足ですが、裏方である音響エンジニアもありましたし、実際細かな職業がかなり事細かに書かれた良書であることは間違いありません。

では、13歳くらいの子供たちを指導をする立場となった現在の僕がこの本を称賛して子供たちに勧めるかと言われると、それは少し違います。というのも、個人的な仕事観とこの本の主張で食い違うところがあるからです。それは『好きな事で仕事を決めるべきではない』という事です。

僕自身が実際に『塾の先生』という仕事をしていても、『お、これは得意だ!』と思える場面と、『ゲ、苦手な奴だ……』となる場面があります。(ちなみに僕の場合は前者が『表現力を要する仕事』で、後者が『注意力を要する仕事』だったりします) 当然、得意な部分が多いほど仕事に向いており、苦手な部分が多いほどその仕事には向かない訳ですが、これは現状の学校成績や好き嫌いだけではどうにもわからない部分が大きく、安易に『コレが好きだから仕事にする!』と飛びついてしまうと、思うように行かないという事があります。(逆にこれで食べていってる人は事業の大小に関わらず本当に尊敬です)


なので、僕が中学生に向けて将来の職業や進路について考える上での1つのポイントを伝えています。それは『自分が『頭を使う』事と『技を使う』事のどちらが得意なのか(もしくは魅力的に思うか)』です。これであれば、自分の学校成績や現在の勉強に対するイメージである程度の判断(がつくはずです。

子供たちの世界というのは、自分たちや大人たちが思っているよりも非常に狭く、進路に対する判断は難しいと感じるのはとても自然なことです。だからこそ、進路を見定める事を慌てる必要もないのではないかと、改めて思うのです。