※この物語はフィクションであり、実在する人物とは一切の関係がございません。
私はジーラ。この町で探偵助手をしてる。(以下セリフ赤字)
今日はこの定食屋で起きた殺人事件の応援として所長のヨリックさん(以下セリフ青字)と警察署内の会議室に来ています。
「あ、警部。お疲れ様ですー。」
気の抜けた挨拶でヨリックさんは入っていく。いくら警部とは顔なじみとはいえ、この軽いノリで殺人事件の捜査なんて大丈夫なんだろうか?
「あぁ、お疲れさん。すまない、急な呼び出しで。」
目の前には疲れた顔のやらない夫警部がホワイトボードの前に腰かけていた。
この人はやらない夫警部(以下セリフ緑字)。この人は見た目もスマートな正義の男って感じの人だけど、考えるよりもチームの指揮を執る方が得意なようで、高度な考え事はさっぱりらしい。
「今日はどんな事件だったんですか?」
しばしの雑談の後、ヨリック先輩が話を切り出す。やらない夫警部はサラッと事件の概要について話す。
「ああ、定食屋で殺人事件があったんだ。店のバイトがゴミ出しのために店の裏に出た際に被害者のファニーさんを発見。発見時、餡子に顔を突っ込んだ状態で眉間に芋けんぴが刺されており、死因は落下死だ。」
発見時の状況がカオスだし、死因に関係ないんかい。心の中でツッコミを入れていると話している警部の顔が曇る。
「そして、容疑者については同じ時間に食堂にいた客23人なんだが、この容疑者たちの証言が無茶苦茶でね。私が君たちを呼んだ理由もそれなんだ。」
「客が容疑者なんですね。従業員のアリバイは取れてるんですか?」
確かに、どうして客の中だと断言できたのかが分からない。
「当時の従業員は店主夫妻とアルバイトの3人で回していたそうなのでが、事件発生まで外に出れる状況ではなかったことが分かっている。それに……」
やらない夫警部は言いよどむ。
「容疑者たちの証言と本人が残したダイイングメッセージから客が犯人であることまでは分かっているんだ。」
「で、その証言が無茶苦茶と。ダイイングメッセージはどこに?」
ヨリックさんは切り出す。
「これがそのメッセージだ。本人の所有物であったA4のルーズリーフに書き残していた。」
ここに、私を殺した犯人について書き記していきます。私を殺した犯人は1人で、犯人は私と同じものを食べていた事は分かってる。あとは食堂のみんながアリバイを証言してくれると思う。でも、気を付けて。彼らの中にはうそつきが何人も混ざっているからすべてを信じないようにして。あと、エイミー・ベイジル・クララ・デズモンド・アーネストの5人は正直者だし、オムライスを食べている人についてはみんな正直者だと思ってくれていい。お願い、私を殺した犯人を見つけ出して!
「いや、死ぬまでに結構書いてんじゃない!」
私は思わず叫んだ。
そんな私をよそにヨリックさんは続ける。
「それよりも『オムライスを食べた人』とはどういうことでしょうか?」
「ああ、それはこの食堂では日替わり定食が人気で、今日のメニューはオムライス・天丼・うどんの3種類だったんだ。それで、証言者たちの文言もこの食事中のメニューと座席について触れているんだ。」
そういってやらない夫警部は当時の座席と証言の要約一覧を見せてくれた。
[当時の着席者]
[証言の要約]
A:エイミー 『犯人はうそつきだ!』
B:ベイジル 『6班にはうそつきが1人以上いる』
C:クララ 『Nさんはオムライスを食べていた』
D:デズモンド 『うどんを食べた人の向かいの席の人はうそつきだ!』
E:アーネスト 『犯人のいるテーブルには2人のうそつきがいる』
F:ファニー 死亡
G:ジョージ 『3班の半分はうそつきで彼らは天丼を食べていた』
H:ヘクター 『Sさんが天丼を食べていたよ』
I:アイダ 『6班で天丼を食べていた人はうそつきだよ』
J:ジェイムズ 『Bさんは持ってきたうどんをWさんと交換していたよ』
K:ケイト 『5班でうどんを食べていたのは1人で彼はうそつきだよ』
L:リーオ 『犯人は1班・2班のどこかにいる!』
M:モード 『2班にうそつきはいない』
N:ネビル 『Qさん・Rさんは僕と同じものを食べていたよ』
O:オリーブ 『Qさんはうそつきだ!』
P:プルー 『6班の半分はうそつきだ!』
Q:クェンティン 『TさんとKさんはJさんと同じものを食べてたよ』
R:ローダ 『Vさんは持ってきたうどんをTさんと交換していたなあ』
S:スーザン 『4班にうそつきは2人以上いる!』
T:タイタス 『Xさんは天丼を食べていたね』
U:ウーナ 『OさんとPさんのどっちかがうどんを食べていたよ』
V:ヴィクター 『MさんとUさんはオムライスを食べていた』
W:ウィニー 『犯人は1~3班の誰かだ!』
X:ザクシーズ 『Fさんはうどんかオムライスを食べていたね』
「そう!こんな感じだからウチの捜査班全員が頭を抱えてるんだ!」
やらない夫警部は私たちに一通り目を通しきる前に声を荒げた。
「新人のやる夫巡査なんかこの証言一覧を見て『なんじゃこりゃあ!』と叫んでそのまま寝込んでしまってね……。」
その新人さんのネタが古すぎることはともかくとして、その気持ちは分かる。これはなかなかに難事件だ。
「ヨリックさん。これ、解決できるんですかね?」
「なるほどね、とりあえず少しずつ状況を整理していこうか。」
正解は1/13(金)に発表します。答えが分かった生徒の皆さんは津村まで。